中小規模の工業製品メーカーが多く存在するなかで、競合他社に打ち勝つためには、マーケティングが重要になってきます。
マーケティングにより、他社との差別化や、見込み顧客へ効果的な訴求を行うことで成約数の向上が見込めるためです。
本記事では、マーケティングの基本から、戦略、運用のポイントなど解説します。
マーケティングについて一から学べる内容ですので、ぜひ参考にしてください。
こんにちは。アンテナライターチームです。
この記事で分かること
- ・それぞれの立場におけるニーズを把握し、アプローチしていくことが重要
- ・販促活動に効果的なマーケティング戦略を行う必要がある
- ・Webマーケティングはプロの意見を取り入れながら進めることで、目標に到達するまでの時間と費用が削減が期待できる
目次
「製造業のマーケティング」
製造業のマーケティングとは、「商品やサービスが売れる仕組みを作ること」を指しますが、本記事では凡その企業で今最も重要なインターネット上での「製造業のWebマーケティング」について重点的に解説していきます。
製造業マーケティング定義
製造業マーケティングの定義として挙げられるのが下記の2点です。
・自社の商品やサービスを顧客にアピールする
・見込み顧客を絞り込み、効果的かつ効率的にアプローチする
自社の商品やサービスを知らない層に向けて、自社の商品がいかに問題解決に役立つのかをアピールし、そのなかで成約に至りそうな顧客を絞り込み、積極的にアピールするわけです。
製造業マーケティング重要性
製造業では、商品を「購入する人」と「購入決定権を持つ人」、「使用する人」が異なります。
したがって製造業マーケティングでは、それぞれの立場におけるニーズを把握し、アプローチしていくことが重要です。
製造業マーケティングの問題について
下記の3つの理由により、製造業マーケティングがなかなか普及しないのが現状の大きな課題となっています。
・製造業のマーケティング知識を有する人材不足
・製品検索が少ない
・価値観の相違
それぞれ具体的に解説していきます。
製造業のマーケティング知識を有する人材不足
BtoBを基本とする製造業では、社内にマーケティングの知識を有していないケースが多くあります。
マーケティングに関して知識がない状態では、外部からコンサルティングを受けたとしても、有益かどうかの判断がつかず、行動に移しにくいです。
またマーケティングに関しての関心や必要性をあまり感じていないため、専門部署が用意されていないこともあります。
そういった製造業の在り方が、製造業にマーケティングが普及していきにくい原因の一つとなっています。
製品検索が少ない
製造業(メーカー)は専門的な商品やサービスを提供することが多いため、インターネットで検索する人は極めて少数です。
検索回数が少なければ、Webマーケティングを推進しても大きな効果が出にくいと安易に推測してしまい、Webマーケティングに力を入れない企業が多いわけです。
ただし、検索回数が少なくとも、本来専門的なキーワードで検索する人は、それこそ高確率で顧客になり得る選りすぐりの人たちです。インターネットは広域です。今まで接触できなかった潜在顧客に積極的にアプローチでき、さらに製造業であれば1本の問い合わせから大きな受注になることも考えられます。本来検索数が少ないことは気にせず、積極的に取り組むことが肝要です。
価値観の相違
製造業の技術は特別な価値を持っており、独自技術は確立から数十年単位で価値を持ち続けます。
つまり、企業は自社の利益を守るために独自技術の流出を防ぎたいと考えているわけです。
しかしマーケティング手法の多くは、価値のある情報を公開し、見込み顧客を獲得、成約につなげる流れのため、相性が悪いと言えます。
この価値観の相違により、製造業が他業種に比べマーケティングが浸透しない原因となっています。
「製造業マーケティングのプロセス」
製造業マーケティングのプロセスは下記の通りです。
・環境を分析
・市場の細分化
・ターゲットの明確化
・ポジションの確立
・マーケティングミックス
・実施と評価
環境を分析
まずは環境を分析します。
環境の分析は外部環境と内部環境の2つの面を分析し、競合との差別化につなげます。
外部環境 | 内部環境 |
---|---|
・業界や技術の動向 ・業界の市場規模 ・業界の成長率 ・業界の消費者 ・競合の商品やサービス ・競合のパフォーマンス |
・売上高 ・市場シェア ・収益性 ・ブランドイメージ ・技術力 ・組織力 ・人的資源 |
外部環境 | ・業界や技術の動向 ・業界の成長率 ・業界の消費者 ・競合の商品やサービス ・競合のパフォーマンス |
---|---|
内部環境 | ・売上高 ・市場シェア ・収益性 ・ブランドイメージ ・技術力 ・組織力 ・人的資源 |
市場の細分化
市場の細分化(通称:セグメンテーション)は下記の属性で行うケースが一般的です。
・購買決定のポイント
・購買決定者
・顧客の状態
・利用頻度
・注文規模
・購買方針
・リスクへの許容量
・創業年数
・経営者層の事情
ターゲットの明確化
市場の細分化したグループ(通称:セグメント)から得られた情報から、アプローチしやすい市場を明らかにしていきます。
セグメントごとのニーズを理解すれば、自社製品を求めるターゲットが絞りやすくなるでしょう。
ポジションの確立
ポジションの確立(通称:ポジショニング)とは、明確化したターゲットに対し、商品やサービスをいかにして選んでもらえるかを考える段階です。
例えば、競合製品が「大量生産で低価格」を売りにしている場合、自社製品は「手間をかけた最高級品」などを売りにすれば、明確に差別化を図れます。
マーケティングミックス
マーケティングミックスとは、マーケティング業務に必要な要素をうまく組み合わせる、ミックスする施策を指します。
マーケティングでは、企業目線の「4P」と消費者側の視点である「4C」という観点から考えるのが重要です。
「4P」と「4C」をそれぞれ意識することで、「どちらかに偏ったマーケティング」を回避できます。
4P | 4C |
---|---|
・Product:商品やサービス ・Price:価格 ・Place:販売経路 ・Promotion:広告や宣伝 |
・Customer Value:顧客が感じる価値 ・Cost:顧客が支払う費用 ・Convenience:入手の容易さ ・Communication:企業とのコミュニケーション |
実施と評価
ここからは設定したターゲットや計画に基づいて施策を進めていきます。
ホームページの運営やSEO対策、Web広告、イベントの開催、メールマガジン、SNS、DMの送付など、効果的な手法を用い取り組みましょう。
また改善を図るためにも、行なった施策の効果測定は必須です。
効果的なマーケティング戦略について
製造業の販促活動に効果的なマーケティング戦略を8つ紹介します。
①コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、ユーザーに向けて価値のある情報を発信し、最終的に自社の利益につなげるマーケティング戦略です。
直接売り込むのではなく、自社のWebサイトへの集客や問い合わせ、ファン化などを目的としています。特に、昨今盛んに言われているSEO(検索エンジン最適化)の要素を組み込みながら実施することが重要です。
効果が出るまでに長い期間を要しますが、作成したコンテンツは財産となり、顧客を獲得し続けることも可能です。
またブランディング効果もあることから、多くの企業がコンテンツマーケティングに取り組んでいます。
②メールマーケティング
メールマーケティングとは、展示会やセミナー、Webサイトへの問い合わせなどで獲得した見込み顧客へメールを配信し、購買や申し込みを促すマーケティング戦略です。
主にメール配信ができる自動化ツールを利用し、適切なタイミングで設定したステップの順にコンテンツを配信します。
一度設定すれば、半自動でメール配信を行えるため手間がかからず、低コストで取り組めるといったメリットがあります。
③SNSマーケティング
SNSマーケティングでは、メールでは接触しにくい顧客層に日々の投稿で接点を作っていくマーケティング手法です。TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSを利用します。無料で運用することも可能なこともあり、ブランディング強化等の目的で多くの企業が取り組んでいます。各SNSの特徴を理解した上で、自社にあった媒体を選択することが重要です。
④Web広告
短期間で成果を上げたい場合は、費用のかかるWeb広告を利用します。
ここではWeb広告のなかで代表的な方法を3つ紹介します。
・リスティング広告
・リターゲティング広告
・ポータルサイトへの広告
リスティング広告
リスティング広告はWebで検索した際、画面に表示される広告の一つです。
キーワードに関連する広告が表示されるため、業界と関連性の高いユーザーに訴求できます。
またリスティング広告は基本的にクリックごとに費用が発生するシステムなので、業界外の検索ユーザーが少ない(広告の無駄なクリックが少ない)製造業に適した手法と言えるでしょう。
リターゲティング広告
リターゲティング広告は、リスティング広告を併せて行うことの多い方法です。
一度サイトに訪れたユーザーに対してバナー画像広告を表示させます。
すでに広告をクリックしたユーザーに対し、繰り返しアプローチできるため、より購買意欲の高いユーザーに商品やサービスを訴求できます。
ポータルサイトへの広告
製造業専門のポータルサイトへ広告を出す方法も効果的です。
製造業に関わる顧客がアクセスするWebサイトなので、効率よく宣伝できます。
ただし、短期では効果が出にくいため、中長期プランなど組むなどある程度長い期間の契約をおすすめします。
⑤ホワイトペーパー
企業が抱える課題に対して、課題解決につながる資料を提供し、結果として自社製品の購買につなげるマーケティング戦略です。
ホワイトペーパーの内容は、課題解決に対してのノウハウや、自社製品のアピールなど多岐にわたります。
製造業では、商品を「購入する人」と「購入決定権を持つ人」、「使用する人」の立場やニーズに応じたホワイトペーパーを用意すると成果につながりやすいです。
⑥展示会(オンライン・オフライン)
製造業界の展示会に自社ブースを用意して、来場者に対してアプローチを試みるマーケティング戦略です。
以前から行われてきた手法ですが、コロナ禍の影響を受け、近年ではオンラインで開催される形式が増えてきています。
顧客に直接、声をかけることで見込み顧客を誘導しやすいのが最大のメリットです。
また、来場者に自社や他社の製品に関する感想がヒアリングできるため、今後の商品開発の参考になるでしょう。
⑦セミナー・ウェビナー
製造業界に関わるノウハウ等の役立つ情報の提供や、自社製品を紹介するためにセミナーを開き、顧客にアプローチするマーケティング戦略です。
こちらも展示会と同様に、コロナ禍の影響を受け、オンラインで行う「ウェビナー」が急増しました。
ウェビナーは会場までの移動距離や移動コストがかからないため、参加者を増やすことは容易ですが、画面を通じてのやり取りになるため、訴求力が弱く成約率は下がる傾向があります。
⑧電話でのアウトバウンド
見込み顧客である企業に電話をかけ、営業活動を行うオーソドックスなマーケティング戦略です。
担当者に取り次いでもらえない、労力がかかるといった問題点はあるものの、1対1のコミュニケーションがとれるため、つながりやすい傾向があります。
成功させるための運用ポイント5選
製造業のマーケティングを成功させるためのポイントは下記の5つです。
・顧客の現状把握
・見込み顧客獲得の手段
・自社の商品・サービスが検索されやすくなる
・継続的な顧客との接点
・マーケティングファネルを考える
・質の高いコンテンツの提供
・社内環境を整える
・成果指標を明確化
顧客の現状把握
ターゲットとなる顧客の現状を正確に把握することで、最適な解決方法の提案が可能になります。
製造業では、商品を「購入する人」と「購入決定権を持つ人」、「使用する人」が異なるため、それぞれの現状を把握する必要があります。
見込み顧客獲得の手段
商品の購買につながる見込み顧客は「効果的なマーケティング戦略について」の章にあったすべての戦略で獲得できます。
改めて記載すると、下記の8つの方法です。
・コンテンツマーケティング
・メールマーケティング
・Web広告
・SNSマーケティング
・ホワイトペーパー
・展示会(オンライン・オフライン)
・セミナー・ウェビナー
・電話でのアウトバウンド
自社の商品・サービスが検索されやすくなる
製造業の商品やサービスはニッチな分野が多いため、検索されにくい特徴があります。
それでも一定数は検索をしている事実があることを踏まえた上で、自社製品を検索されやすいように考えます。
例えば検索キーワードを需要の多いものと関連付けたり、SEO対策を施したり、業界関連でアクセス数の多いポータルサイトへ広告を出したりすると検索されやすくなるでしょう。
継続的な顧客との接点
Webマーケティングでは、顧客と対面することが少ないため、顧客との関係性の構築が困難です。
電話やメールでのヒアリングや、製品の案内、展示会などで継続的に接点をもち、友好的な関係を保つようにしましょう。
有効な関係性が構築できれば、必要なタイミングで購買行動に移る可能性があります。
マーケティングファネルを考える
「マーケティングファネル」とは、消費者が商品の認知から購入に至るまでの段階を指したマーケティング用語です。
自社製品が成約に至るまでを可視化できるため、段階ごとにすべきことが明確になります。
質の高いコンテンツの提供
質の高いコンテンツを提供すればサイト全体の評価が上がり、検索上位に表示されるため、見込み客の目に触れやすくなります。
「質の高いコンテンツ」は、Googleの検索品質評価ガイドラインで定義されているE-E-A-Tに基づいて判断しましょう。
【E-E-A-T】
E:Experience(経験)
E:Expertise(専門性)
A:Authoritativeness(権威性)
T:Trust(信頼性)
社内環境を整える
マーケティングを効率的に進めるには、社内環境を整えることが大切です。
各部署の連携を強化し、一丸となって取り組むことで目標に近づいていきます。
特に企画開発担当と営業担当、ホームページや情報システム担当は密に連携をとり、自社製品の魅力を最大限伝えられるようにしましょう。
成果指標を明確化
各施策の進捗が予想通りに進んでいるかを確認するために、成果指標となるKPIを設定します。
KPIとは、目標を達成するための重要な業績評価の指標を意味します。
達成状況を定点観測することで、目標達成に向けた組織のパフォーマンスの動向を把握できるようになるでしょう。
Webのマーケティングはプロの意見が重要
Webマーケティングを自社で完結するには専門知識を有した人材と、膨大な作業時間が必要です。
一部を外部委託し、予算に合わせて必要な部分だけを自社で行うことをおすすめします。
プロの意見を取り入れながら進めることで、目標に到達するまでの時間と費用が削減できるでしょう。
Webマーケティングを推進するならクラウドWEBマスター
クラウドWEBマスター(CWM)はWebサイトのリニューアルやECサイトの立ち上げなど、いわゆる制作業務の請負ではありません。製造業各社の現況調査から戦略設計、Webマーケティングの運用までをお客様社内の情報システム部のように協業体制で行います。制作会社に相談すると、すぐリニューアルとなりがちです。クラウドWEBマスターでは、それ以前にすぐに出来るWebマーケティングからお勧めしていくことがほとんどです。 基本料金は月額29,800円と低価格設定。「Webマーケティングを行いたいが、知識も人手も足りていない」「知識がなく、何から始めたらいいかわからない」といった場合は、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
製造業はマーケティングが浸透しにくい業界です。
しかし、だからこそマーケティングに取り組めば、競合他社に打ち勝つ可能性が高くなります。
本記事の内容を振り返り、事業拡大の参考にしてみてください。